TOKYOGIRL - digital-digest -
陽炎も逃げ出してしまうほどむっとする環八を、縫うように急いでたどり着いたそこには
窓枠に座ったスタイルが似合いすぎててしょうがない夏の少女がちょこんと。
”富士山の麓をぐーるぐる?(笑) 二千メーターまでバイク?(笑)
ヤスさんはバイクでわけのわかんない道をいくのですね”
いえ、わけがわかんないわけじゃなくてですね...(^_^;)んーっと...。
あ、あっちキレイそうだな、登ると楽しそうだなーと思ったら逆方向でもクルンっていっちゃうんです。
飲みかけのレモン色した冷たい瓶を差し出され、それを一気に飲み干して
真鍮があちこちに見えるバケペンの裏蓋をあけて急ぎフィルムをロードする。
ペンタの67は焦れば焦るほどスプールの穴と巻上ギアがうまく噛んでくれなくて
僕の場合急いでる時に限ってほとんど必ずそうなってしまうので、ちょっとひとり笑けてしまい
何が? とつられてクスクス笑う高い声が蝉の鳴き声といっしょに聞こえてくる。
東京ってミンミン蝉がまだいるんだ・・・となんとなく思いつつ
バチャム! ...ジャリン。
という大きなシャッター音の後に、なかなかな抵抗の巻上げのあの短い時間で
ファインダーのこの子はほんの少し各部の位置とかすかに表情を変えて「ほぅら」というようにこっちの写欲をあげてくる
自分の外的パワーコントロールをまだ知らずにただ若さだけでぐっと惹きつける被写体もいれば
自己操縦が自在で自分というのをわかっている被写体は稀にしか遭遇できない。
あ、、やるなぁ。 手強いがそーじゃなくっちゃな!とスイッチを切替え奮い立つ。
真剣勝負に似たセッションはジリジリ、、ギリギリという音が聞こえてきそうなくらい息が詰まる
枚数が増えていくにつれて完全フルパワー出さないとこりゃあっちにもっていかれそうだな...
と、お互いなんとなく実感する瞬間があって
それはコーナー立ち上がりでギアを一段あげてまたお互いほぼ同時に全開するような感覚に似ている。
せっかくひいた汗が首筋をツーっとつたってシャツに染みる不快感をスローモーションのようにに感じながら
ピントリングとシャッターにとんでもなく神経を集中していることにふと気がついて自身で少し驚きながら
そこまでさせてくれることが嬉しくって楽しくってしょうがなくてどんどん夢中になる
あとふたつ! と9コマ目の巻上げ
1ロール1ロールがあっという間に巻き上がり
畳の上には手荒く開封された黄色い箱が散乱
ゼーゼー... ハーハー...
ひとラウンドが終了したら、足放り出し畳にひっくり返って二人してバッターン。
なんでポートレイトやのにこんな超エネルギー要るねん(笑)!!
と、どっちからともなくカラカラと笑いがとまらない。
窓の外も蝉の鳴き声がとまらない夏の午後。
by shonencamera
| 2013-08-09 22:32
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