オーディオテクニカ AT-MA2 小改良
動画での音声PCM別録音がきっかけで、少し音について作業の合間に勉強し直したり調べたりしているうちに、ふと思い出した。
基本的にこれはACアダプターでの駆動がデフォルト。購入したものの稼働させるのにACを探さなきゃいけないことが面倒でいつの間にかお蔵入りになっていた。
で、シリコンハウス共立でパーツを買ってきた。四角い9V電池ボックスとEIAJ3のL型DCプラグ。両方で200円前後。 電源ケーブルをちゃんとしたケーブルに交換したくなるが、とりあえず買ったまま長さだけ調節してつけてみた。
たったこれだけでACアダプターに縛られずフィールド運用が可能になる。インジケータも煌々ときちんと動作。 ゴムバンドでくくるか、ベリベリで本体とくっつけるとコンパクトに一体化して良いだろう。 消費電流が最大で30ミリアンペアなので計算では9V電池1個でもつけっぱなしでも丸一日は全く問題ないくらい持つはず、実際ではスペア最低数個持参するだろうから日をまたぐロングの撮影などでないかぎり大丈夫だろう。
さらに副産物としてDC駆動になるということは、音質面でノイズの要素が激減する、これは副産物というよりも主目的にしても良いかもしれない。
ただ、内部結線作業をしているときにわかったのだが、内部基板上に何故か赤LEDがある。プラグインパワーをONにするとそれが律儀にも点灯する。バックパネルにはLED窓も無いので全く無駄に光っているわけで、しかもそのLEDも微弱だが電気を食っている。通常の赤LEDの最大許容電流値の半分と見積もっても10ミリアンペアくらいは流れているはず。これ、AC駆動ではどうでもいいといっていいほどの少ない消費電量だが、電池駆動では本体消費電通の10-30%以上となってしまい無視できない。除去してしまいたいがとってしまって良いのかどうかの判断知識が無い...。
中身の肝のオペアンプはたぶんコレ、型式で調べてみると「オーディオ用二回路入りオペアンプ」というものらしい。どこかでこういうの見たことあるなぁ...と思ったら、PCオーディオのUSB-DACだ。その中でもこのオペアンプをエレパーツ屋で数種類買ってきてとっかえひっかえして音がどーのこーの、というのとほぼ同じような感じじゃないのかな。ここらへんが詳しくなればマイクアンプももっと好きなようにできたりするんだろうか。
もうひとつAT-MA2で厄介なのがLINE出力がRCAしか無い点。ポータブル運用ではRCA-ミニプラグのケーブルを使うのが本筋。しかしこれがまた出先ではコード長いわニョキっと飛び出て邪魔でしょうがない。接続でいえば確実なんだけど。
運用ではカメラ使用かPCMレコーダーがほぼ100%。なので一番稼働するミニプラグ出力を増設。 これに短いケーブルでたとえばPCMレコーダーのLINE INや、カメラの外部端子にズドンと入れることができる。
加工といっても僕ができるレベルなので全然たいそうなものでも偉そうなものでもない。 場所を定め、バックパネルに穴を開け、数あるステレオミニジャック端子の中でちょうど良さげだと選んだシンプルなものを設置する。
ケースグラウンドなので絶縁タイプでなくともOKで、極普通のジャック端子で良い。パネル厚2mmまでOKの円筒形のボディがしっかりしているものを選んだ、お値段100円ちょっと。 AT-MA2でのこの箇所は非常にタイトなのでできるだけ直径の小さなジャックを選んだ方が設置しやすい。 LINE OUTと記載されている真下のプラスネジスペースを殺せば、下穴も開いているしちょうど良いミニジャック増設スペースとなるのだが、ここはケースグランドがリアパネル~基盤ともに共締めされている。別にアースを増やせば問題ないが、なんとなくオリジナル(もうすでにオリジナルではないが)を殺さずにこの位置に設置。
これで後部へのケーブルや端子に関して出っ張りの限りなく少ないフィールド運用が可能になる。デフォで使えばいいじゃん、と思ったそれもそうなんだけど、屋内では何の問題も無く気にもならないことが、いざ出先で実践してみれば「う、、この数センチの出っ張り、めっちゃジャマじゃん!」とか、やってみて初めて気づくこととかあるのですわ。たとえばカメラでも(特にコンパクトカメラで)三脚に据えたら電池蓋が開閉できなくなって脱着しないと電池交換できないことに気づいたりとかね、そういう事例とニュアンスでいえば似ています。気にもならない人もいればそこが重要項目になってしまう人もいる、ただそういうことで誰に対しても有益で有効というものでもないのです。ただ自分の使い方に適したように工夫してそれが理想に近づいてくるということにものすごく満足感でヒタヒタになれる、とそういうことですね。
さあこれで録音方法の選択肢が増えました。MICレベルでそのまま繋いでもいいし、PCMレコーダーならLINEで繋いでも良いし、LINEレベルにあげた信号をEOSにぶち込めば(質的にはどうだかわからないが)ぱっと聞きは明らかにノイズが下がったクリアな音になる。一時期ホワイトノイズでわいわいしていた動画サイトのサー音(テープの時代はヒスノイズって言ってたけど今はなんていうんだろう)の件だが、プリアンプで増幅した信号をEOSのMIC端子に入れ、EOS側のマニュアルで最小レベルくらいで調節して同時録画するというのが解決策として流行っているようだ。オーディオ的には信号2回増幅となる禁じ手なれど実際問題として有効のようなので、EOSに使えばこれもそれと同等のものとなる。ビデオカメラの場合、上位機種では一般用でもMIC/LINEの切り替えができるボディもあるのでLINEで使った方が音としては良いんだろうな。手持ちで良い小型プリアンプがあるのであればボディ内蔵のちょっとしんどいプリアンプなどはキャンセルした方が良い音になるのは当然だ。
最近のDSLR用に設計されたガンマイク(たとえばSHUREのVP83)では三段階のゲインスイッチがある。+20db上げれるってのがすごい使いやすそう。そのゲインUP/DOWNだけの中間アダプターとかあったら古いモデルでも有効利用できそうな気がするんだけど音的にはダメなのかね。
PCMレコーダーの内蔵プリアンプとどっちが良いか比較しても違いが繊細すぎて僕には正直あんましわかんないけど、マイクのゲインをAT-MA2側でヘッドホンでモニターしながらある程度ギリギリまで最初の基準値を上げることができ、そのしっかりした強い信号を増幅したLINEで安定して記録できる、というのは音的にはすごくありがたい。何故これを今まで思いつかなかったのかと勿体無く死蔵していた自分の頭の錆付き具合が情けない。
ここんとこPC仕事作業がずーっと続くのだが、合間合間でずいぶんと離れて久しいオーディオや音系に首を突っ込んでは「へー、今そうなってんの?!」とか驚きの連発である。その中の新しい知識をどういうふうに自分の仕事や楽しみの為に運用したり、グレードアップできるかなぁというのが少し楽しくなってきた。特にマイク系は今まで全くといっていいほど無頓着で、内蔵はイヤだけど本格的にすごいホワホワつけたりするのも目立つしなんだかなぁ~とかという限りなく素人に近いレベルでしか考えてなかった。高価なものでなくともキチンと仕組みや道理を勉強して理屈を知り、今あるモノや少し足してクオリティが少しでも高くなるような自分なりの何かを考えてみたい。そういうのを頭の中でずーっとアレコレ考えるのはメッチャクチャ楽しい。今回のDC電源やミニジャック追加だとか、とても些細な改造だけど圧倒的に便利になるし、買い物や作業自体も煮詰まって全然進まない仕事の息抜きになってとても楽しいのだ。
そういえば、小型のマイクプリアンプを持っていたっけ、、、とガサゴソ探したのがオーディオテクニカのAT-MA2
これ、マイクをひとつ接続でき、それをLINE信号のレベルまで増幅する、という超シンプルなものなんですが(今はどうだかわからないが)当時ではとにかくすごく音が良かった。
随分昔に買ったと思うのだがいまだに現役ラインナップしていた。オーディオテクニカのロゴがなんだかとても懐かしい。
これが見ての通りPCM-M10とそう変わらないほど小型軽量なので、これで外部マイクの信号をLINEレベルにあげればEOSやムービー機に入れる際の選択肢が増えるし、音声ノイズ的にもハンドリングがよくなるかもしんないなぁということ。少し調べたら色んなとこでよく似たことを考えてる人がいて参考にさせてもらった。
ここにDCの9Vを入れれば電池駆動のフィールド運用ができる、とは誰しも思うし、当時の僕にも教えてあげたい。
(ちなみにACアダプターは標準付属、また懐かしいトランス型の重いACアダプターなのです。さすがかどうかはわからんが音のオーディオテクニカ)
by shonencamera
| 2017-10-25 19:24
| アクセサリー系
|
Comments(2)
AT-MA2 のACアダプターが面倒になり、家に放置させていたところ、こちらのブログに出会いました。よければ教えて頂きたいのですが、EIAJ3のL型DCプラグははんだごてで接続されてるのでしょうか?また、DCプラグ→USBやDCプラグ→type-Cのようなもので、モバイルバッテリーに接続する方法などありましたら教えてくださると嬉しいです
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Commented
by
shonencamera at 2023-09-10 15:06
>EIAJ3のL型DCプラグははんだごてで接続されてるのか?
そうです。逆にハンダ以外で制作する方法を僕だけでなく全世界の人は誰も思いつかないと思います。
>モバイルバッテリーに接続する方法
MA2の要求が9Vですからちょっと厄介ですね。。
Mバッテリ、だいぶ昔は出力切り替えSW(9Vや12V昇圧)があったりしましたが、世間が5Vそのままで動くようにする自然な動きがあり必用なくなり淘汰されました。
なのでどうしてもという場合はMバッテリとMA2の電源の間に<5Vto9Vの昇圧回路>を自作するくらいしか方法はありません。
ただ手間や昇圧電源が音に悪い点、更にMA2の駆動電流が非常に微弱電流なことを考えるとメリットが薄い。
紹介したような9V乾電池(四角いヤツですね)、または単三x6本のDC駆動が、手っ取り早く、間違いが無く、現実的かと。
そうです。逆にハンダ以外で制作する方法を僕だけでなく全世界の人は誰も思いつかないと思います。
>モバイルバッテリーに接続する方法
MA2の要求が9Vですからちょっと厄介ですね。。
Mバッテリ、だいぶ昔は出力切り替えSW(9Vや12V昇圧)があったりしましたが、世間が5Vそのままで動くようにする自然な動きがあり必用なくなり淘汰されました。
なのでどうしてもという場合はMバッテリとMA2の電源の間に<5Vto9Vの昇圧回路>を自作するくらいしか方法はありません。
ただ手間や昇圧電源が音に悪い点、更にMA2の駆動電流が非常に微弱電流なことを考えるとメリットが薄い。
紹介したような9V乾電池(四角いヤツですね)、または単三x6本のDC駆動が、手っ取り早く、間違いが無く、現実的かと。